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寒いねと話しかければ・・・ (突然の訃報)

「旅立ちの準備が整いました。」
「ほどなく、お別れです。」

最近よく見かける、なんとも切ない葬儀屋さんのCMだが、
先週末の朝、そんなCMが流れた直後に・・・ ケータイ電話が突然鳴り、
関西で暮らす、従姉の夫が亡くなったとの連絡が飛び込んできた。

享年78歳だから、私より6歳先輩で、
いわゆる団塊の世代だから・・・ 旅立つには、あまりにも早すぎる。

先々週、心筋梗塞の症状があったので入院し、カテーテルで処置したと聞き、
心配していたが・・・ 入院の直前には症状が悪化していて、
昏睡状態から意識が戻らないままの旅立ちだったらしい。

葬儀は家族葬で行うとのことだったが、
家族ぐるみの付き合いがあり、仲良くしていた妹が、
北九州から新幹線と在来線を乗り継いで参列するというので、
ご仏前を頼み、拙い文面で恐縮だが、下記の内容で弔電を送らせていただいた。

「 ◯◯さんの訃報に接し、慎んでご冥福をお祈りいたします。
  穏やかな人柄と、優しかった眼差しは、私が目標とする大先輩でした。
  家族葬と云うことなので、葬儀への参列は控えますが、
  今夏帰郷する際に、立ち寄らせていただければと思っています。 」

従姉宅は・・・ 
従姉が72歳、従姉の夫が78歳、従姉の母が98歳、
7歳のワンちゃん1匹を加えて、皆の
歳を足せば250歳を超えてしまう、
シルバーファミリーだったが、
気兼ねすることなく付き合える楽しい家族で、
毎年、帰郷する際に立ち寄るのを楽しみにしていた。


また、従姉と亡くなった夫は・・・ ともに再婚した苦労人で、
お互いの子どもたちが巣立ち、家庭を持った後になって、
生活が落ち着いた50代に入ってから、縁あっての熟年婚だったので、
夫婦になってからは、20年そこそこしか経ってなかった。

従姉は看護師、夫は薬剤師として、ともに医療現場の第一線で仕事をやり遂げ、
数年前に二人揃ってリタイアしてからは、
島根で暮らしていた高齢の義母(従姉の母)を、関西に呼び寄せ、
一緒に暮らしていたんだから・・・ 従姉は夫の優しさにベタ惚れだった。

葬儀が終って数日が経ったので、
そろそろ電話をしてみようかなと、思っていたが、
従姉の精神状態を察すると・・・ そのタイミングが分らず、
ふがいないというか、常識が分からないというか、時間だけが過ぎていた。

女房や妹は、初七日が過ぎてから電話すれば良いと云ってたが、
今度は・・・ どんな言葉で話し始めれば良いのか、どんな話しをすれば良いのか、
いざ電話をかけてしまうと、こみ上げるものがあって、
なにも言えなくなりそうで・・・ 意気地なしと言われそうだが、ちょっと怖かった。

そんなこんなで躊躇っていたら、あっという間に初七日になったので、
勇気を出して電話をかけてみたら・・・ 。

きっと手元にケータイがあったのだろう、ツーコールで従姉が出てくれたので、
咄嗟に口から飛び出した言葉は・・・ 「寒いね。メシ食ってる?」だった。
すると従姉は「食ってる。食ってる。ホントに寒いね。」と返してくれ、
そこからは、いつもと変わらない会話になるんだから・・・ 心配する必要はなかった。

女房を交えて、15分ぐらい話したと思うが、
電話を切った後に・・・ なに気に脳裏に浮かんだのは、
記憶が確かなら、俵万智さんの代表作「サラダ記念日」という歌集にあった、
「 寒いねと 話しかければ 寒いねと 応える人の いる暖かさ 」という句だった。

夫婦、親子、兄弟、姉妹、親族、友人、ご近所さん、先輩後輩、上司部下などなど、
人と人との繋がりに・・・ 濃淡は数々あれど、
「寒いね。」と言ったら、「寒いね。」と返すことが出来るような関係性を、
自然体で保つことができたなら・・・ このうえなく嬉しいし、とっても幸せだと思う。

実母どうしが姉妹という間柄で、従姉と私は同じ昭和29年生まれだが、
早生まれの従姉が学年は一つ上で、二つ下の妹を交えて仲の良い関係があって、
お互いの子どもたちも同級生だから、節目節目ではけっこう話していたように思うが、
今回に限っては・・・ 久しぶりに心が通い合う話しが出来たと思う。

訃報が切っ掛けになったことだけは・・・ 残念の極みだが、
妹や女房を含めて、気遣いをすることなく、親密な親戚づきあいが続いていることに、
改めて母(95歳)と、伯母(98歳)には、
旅立ちの準備が、もう少し先になってくれるよう・・・ 生き抜いて欲しい。

心と体が元気で・・・ 朝起きて「おはよう。」の挨拶ができて、
モーニングコーヒーを飲んで「美味いね。」と話せる相手が傍にいてくれれば、
歳も歳だし、それが幸せなんだと思ってしまう・・・ この頃になっている。

Commented by りらJOY at 2026-02-18 21:24
こんばんは。
いつもながら、ペーソスとユーモアのバランスが小気味良い文章ですね。
今日はお世話になった叔母の葬儀があり、共有するものがあります。
何気ない会話のキャッチボール、大切にしようと思いました。
Commented by tamajii1954 at 2026-02-19 04:58
りらさん、おはようございます。

仰るとおりです。
会話のキャッチボールの大切さに、改めて気づかされました。
家族の身体の健康と、心の健康に気づき配慮ができる、
ちょっとだけ我が儘な爺さんでありたいと思いました。
Commented by yozda at 2026-02-19 22:11
読みながら、自分も「寒いね」と言える相手を大切にしようと思いました。
Commented by tamajii1954 at 2026-02-20 06:04
yozdaさん、おはようございます。

会話ってホントに大事ですね。
歳を取れば認知症の症状がでるのは致し方ないと思うものの、
その進行にも会話が影響があるのでは・・・ と、思っています。
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by tamajii1954 | 2026-02-18 04:00 | 時のつれづれ | Comments(4)

下り坂を歩き始めたら、上り坂では見えなかったものが見えてきた。焦らず慌てず、少しだけ我儘に、人生は後半戦が面白い。


by 多摩爺
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